学ぶことは、生きること。
勉強は本来、不安に追い立てるものではなく、一人一人が自分らしく成長し、世界を広げていくためのものだと、私は考えています。
私は、学生バイトをきっかけに、約10年間、大手塾の現場に身を置きました。
そこで強く感じたのは、いわゆる受験業界は「不安産業」だという現実です。親の不安が煽られ、子どもが数字や実績で語られ、その渦に舞い込まれて、競争の中で苦しさを抱えていく親子の姿を、何度も目にしました。
その経験があったからこそ、その流れに抗うように、自分の塾を立ち上げました。
そして21年。子どもは一人一人まったく違うかけがえのない存在であることを大切にしながら、受験テクニックにとどまらない本質的な授業に、アドラー心理学の学びも取り入れ、現場での実践を続けてきました。
子どもを傷つけなくても、親子関係を壊さなくても、受験はできる。
そして、ちゃんと成長につながる。
このやり方で、子どもたちは確かに成長し、多くのご家庭が「やってよかった」と言ってくださいました。
初の著書となるこの「国語×アドラーで叶う幸せ受験」には、私が30年間の現場で大切にしてきたこと、そして、その中で確かに成果を上げてきたことをぎゅぎゅっと200ページに詰め込みました。この本に書かれているのは、きれいごとではありません。信念にもとづき、現場で積み重ねてきた、ひとつの実践の記録です。
世の中には受験の知識や方法について書かれた本は数多くあります。一方で、その前段階の、「どのような姿勢で向き合うか」「どんな関係性の中で学ぶか」「なぜ学ぶのか」ということについては、ほとんど語られることはありません。そして、実は、そちらのほうがずっと大切なのです。
何をやらせるかよりも、どのように取り組むか。
どんなまなざしで子どもと向き合うか。
知識やテクニックの前に、親のまなざしや言葉、関わり方という「土台」があります。
その土台が整ったとき、受験は、子どもを傷つけるものではなく、確かな成長の機会になります。
そんな「幸せ受験」を、私は何度も目にしてきました。
そしてーー
一組でも多くのご家族が、親子関係を壊すことなく、「やってよかった」と思える幸せな受験を経験し、その先の人生にもつながる力を育んでほしい。
やがて成長した子どもたちが、自分らしい力をいきいきと発揮し、社会を少しずつ、よりよいものにしていく。
そんな未来を願って、この本をお届けします。